おかんとおとん(かあちゃんととうちゃん)/だいたい関東弁バージョン


「ねえ、かあちゃん。なんで かあちゃんは、とうちゃんと けっこんしたの?」
「えっ? いきなり なに いってんの。なんで けっこんしたって……
なんでかなあ。とうちゃんに きいてみな」

「ねえ、とうちゃん。なんで かあちゃんと けっこんしたの?」
「はあ? なに いってんだよ。そんな こと、かあちゃんに きけよ」
「なんだよ。かあちゃんが とうちゃんに きけって いったのに!
じゃあ、おしえて。かあちゃんとは どこで であったの?」
「そんな こと、もう わすれたって。かあちゃんに きいてみろよ」

「ねえ、かあちゃん。とうちゃんとは どこで であったの?
とうちゃん、わすれちゃったんだって」
「えーっ! とうちゃん、わすれたって いってんの?
まったく ありえないんだけど。うみだよ うみ!
かあちゃんと とうちゃんは うみで であったの!」

「ねえ、とうちゃん。かあちゃんに きいたよ。うみでしょ うみ!
とうちゃんが つりしてるとき、かあちゃんと であったんでしょ?」
「そうだよ。かあちゃんが いきなり おおさわぎ したんだ。
『タコだ タコーッ!』ってな」
「タコ? とうちゃんの こと、タコって いったの?」
「ちがうって! とうちゃんが キス つってるとき、
たまたま タコが かかったの!」
「えーっ、キス? かあちゃんと キスしたの?」

「かあちゃーん! キスしたの? とうちゃんが はくじょうしたよ。
かあちゃんと とうちゃん、であって すぐに キスしたんでしょ?」
「えー? とうちゃんが そんな こと、いったの?
うそだよ、うそ! いきなり キスなんて するわけないよ」

「とうちゃーん! かあちゃんが キスしてないって いってるよ。
いったい どうなってんの?」
「どうも こうも ないって。キスって いうのは さかな。
シロギスって さかなを つってたの!」
「なーんだあ。おもしろくないなあ……」

「ねえ、かあちゃん。とうちゃんと デートしたことある?」
「はあ〜? その はなし、まだ つづくの?」
「ねえ、おしえてよ。とうちゃんと デートしたことある?」
「あるに きまってるでしょ。ドライブの やくそくしたら、
とうちゃん、すっごい ぽんこつ のってきて、はずかしかったあ」

「とうちゃーん! かあちゃんに きいたよ。
トラックで ドライブ いったんでしょ?」
「トラックじゃないって。け・い・ト・ラ・! にもつは つめるし、
ふたりのりだし、デートに ぴったりの くるまだぞ。
そんなことより、かあちゃんが もってきた おにぎり、
なにが はいってたと おもう? まったく ありえないよ」

「かあちゃーん! とうちゃんに きいたよ。
おにぎりに あめだま いれたんでしょ?」
「たしかに あめだま いれたけど、うめぼしあじだよ。
おにぎりに ぴったりでしょーが。
そんなことより、とうちゃんが たんじょうびに くれた はなたば。
なんだと おもう? まったく ありえないよ」

「とうちゃーん! かあちゃんに きいたよ。
たんじょうびの プレゼント。ざっそうの はなたばでしょ?」
「ざっそうじゃないよ! あれは ナズナって はななの。
なんだ かあちゃんは しらなかったのか。まったく むなしいなあ……」

「かあちゃん、あのね。とうちゃんの はなたば、ざっそうじゃないんだって。
ナズナって はななんだって。
はなことば、『すべてを ささげます』って いみなんだって」
「なんだかなあ。こっちが ささげたようなもんだよ……」

「ねえ、とうちゃん。なんで かあちゃんと けっこんしたの?
ねえ、かあちゃん。なんで とうちゃんと けっこんしたの?」
「まったく しつこいなあ──」

「すきだからに きまってるでしょ!」

「みなさーん、ごちょうないの みなさーん。
かあちゃんが、とうちゃんを、すきって いってますー。
とうちゃんが、かあちゃんを、すきって いってますー」

「こらっ、もう いいかげんに しろっ!」

「なんでだよお。
かあちゃんも とうちゃんも はずかしく なってんの?
すきって そんなに はずかしいの?
すきって いったら はずかしいの?
ぼくは、ぜんぜん はずかしくないよ。
だって、かあちゃんも とうちゃんも──」

「だいすきなんだもん」

(おしまい)


翻訳/神奈川県のひらたまさひろ


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